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結論、出来なかった。

洗顔は、手の包帯のこともあって濡れたタオルを用意してくれていた

問題は、そう。やっぱり歯磨き。

やり方を教えられて、ひとまず一回は自分でやってみようということで

実際にやってみた結果、
自分で喉奥まで歯ブラシを突っ込んでむせた。

だから、

「はい次は、いー、ってしてな〜」

………歯を、磨いて貰ってる…

すぐ近くの談話室らしきところで、およそ小学校低学年までが母親に仕上げ磨きをされるような感じで
……要するに、膝枕もされてる

恥ずかしい…!!
シャンプー出来なかった事よりも、これは恥ずかしすぎるっ!!

まるで幼児返りしたみたいだ
こんな事だったら前世の記憶なんてない方が、この状況をすんなり受け入れられたかもしれねぇ

こんな恥ずかしいなんて思わなくてすんだかもしれない

あぁ…、唯一心の片隅にだけしか残ってなかった人としての尊厳を失った気がする。元々無いようなもんだけど

歯磨きが終わって洗面所に戻った後も、うがいの仕方まで丁寧に教えてくれた。

「じゃ、朝ご飯にしよっか。食堂に行くで〜」

先を歩いて行く医者の後ろをついて歩く

それにしても、やっぱり随分と丁寧で、優しい。
こんな一日の始まりなんて体験したことがなかった

本当に意図が読めねぇし、分かんねぇ

もしもの話をするとして
前の主人のように扱わずに一人の人間としてこれからも接してくれるとしても、

ここまでするメリットなんて皆無だろう
何かでお返しが出来るような、そんなものなんて何一つとして持ち合わせてなんかねぇ。

なんか……特殊な趣味でも持ってんのか?
手懐けた存在を裏切って絶望させたい、みたいな
すっげぇ独特な趣味を持ってる人がいんのかな

正直、気味が悪い

わざわざ傷の手当てしたり、歯磨きとか……そんなのを、こんな一生隷属の存在にする意味が分かんねぇし、そんなことをする理由に理解を示せそうにはきっと無い。

ここまでされる意味が分からなくて考えていれば

突然、何かが足にぶつかった。
ぶつかった、よりも衝突のほうが言い回し的には正しいかもしれねぇが

足への衝撃の所為で強い痛みが全身に、雷に撃たれたみたいに駆け巡ったけど、大きなリアクションをしなかった俺は非常にえらいと思う。

「どこ行くのよ」
「……食堂」

エニスの声に気づいたのか医者が振り返って、エニスと目線が合うようにしゃがんだ

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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta  
作成日時:2024年3月20日 2時

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