27 ページ27
ついて行った先には両開き扉
その横に【食堂】とかかれたプレートがある
医者はその扉をノックせずに開けて、入るように促されるからおずおずと身を縮込ませて扉をくぐり抜けた
移動してる最中に裸足であることを指摘されて、随分とフカフカでちょっと歩きにくいスリッパを履いているが
食堂が屋敷の中の一室ということもあって装飾とかが豪華なため、己のあまりにもラフすぎる格好に場違い感がすごすぎて逃げたい
逃げたら絶対捕まってキッツいお仕置きルートだろうけど
そもそもそんな勇気無ぇし、服装がどうとかよりも俺みたいな奴が主人達が食事をする場所にいるのがそもそもおかしいように思う
でも、医者についてこいって…
フューラー様は手当てと風呂、としか言ってなかったような気がするけど、本当に俺はここにいていいんだろうか
「アル」
声のした方に少し目線を下げれば、飯を食べるためか髪の毛を一つにまとめたエニスがいた
くい、と服の裾を引っ張って長机を囲んでいる幾つもの椅子の内一つにエニスは俺を座らせる
とてつもなく強引だぁ
「アルは私のペットよ。だから、私のとなり」
忘れちゃダメよ
そう言ってエニスは俺の左隣に座る
そうすればその更に左にいる、室内でも何故かヘルメットを被ったままのショッピ様がエニスの頬を人差し指でつついてニマニマしていて
それをされている本人はいかにも不機嫌そうに眉をひそめて、その手をバシッと叩き落とした
それでもショッピ様は懲りずにまたニマニマしながらエニスの頬をつついている
……今のこの様子から見れば、エニスの無礼な行為に対してショッピ様含めたこの場にいる人たちは何もしない、のかもしれない
分からない、優しさを偽ってるだけなのかもしれないが
でも、エニスの無礼な行動に対して俺が一々主人に怒られるかも、なんて恐怖するのは愚かな行為に思えてくる
とばっちりよりも自分の方を考えて、できる限り新しい主人達を怒らせないように、反抗しないように
した方がいいかもしれねぇ
「エニス、俺のことをショッピお兄ちゃんって呼んでみてや」
「いやよ」
「お兄様でもええで」
「いやよ、アルにでも言わせときなさいよ」
とばっちりが来た
つい横を向いたら、同じくこっちを見たショッピ様と目が合って
「うちの子がすみません」
って言われた
目が合ったときに出てきた冷や汗は無駄になったけど、理不尽に怒られたりしなくてよかった…
エニス、本当に余計なことを言わないでくれ。
121人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta
作成日時:2024年3月20日 2時