24 ページ24
医者の手にやかんが握られることはなく、本当にすぐ近くにあった浴室に辿り着いた
前世だったら同性であっても初対面の人を前にしてすっぽんぽんになるなんて絶対できなかったし、やらなかっただろうけど
もう既にそんな羞恥心とかの問題じゃないものを十年以上あったから、そこはどうでもいいんだ
他人の全裸も、性別関係なく地下牢で毎日見てきたからなんとも思わねぇ
だから、そう言った面での問題は何一つとしてなかった
じゃあやっぱり熱湯?と思うだろうが、そう言うことでもない
寧ろ熱湯が冷水が暴力がうんぬんよりも、主に俺の精神的ダメージがデカい出来事が現在進行形で起こっている
前世と今世を合計したら既に成人済みの時間を生きている俺が
頭を他人に洗われている……!
恥ずかしいったらありゃしねぇ!!
エニスくらいの年齢だったらまだ当たり前だろうけど…
自分の具体的な年齢は知らねぇが、後5年もすればほぼ成人と言ってもいいくらいの年齢なのに、大人にシャンプーをされている……
「痛くない?」
「大丈夫です……」
心は痛ぇよぉ……!!
「念入りに、二回ずつ洗おうか。次はアルが自分で頭を洗ってみてね」
幼稚園児と一緒にお風呂に入る母親か?
いや……うん、医者から見てみればフューラー様の名前すら知らなかった俺なんて幼稚園児の知能と同じか……
シャワーから出てくるのは水じゃなくてお湯だった
それも、ぬるま湯
エニスを先に風呂に入れたんだろうか
流れていく泡が無くなった頃に医者はシャワーを止めて、シャンプーボトルを教えてくれた
しかるべき所を押して、手のひらに残る液体を見て何故か俺はどうすべきかを理解していなかった
シャンプーの液体って泡立ててから髪につけるんだっけ、それとも液体のまま髪につけるんだっけ
どっちだったっけ、なんて前世の16,7年間毎日やっていた行動の一つが分からなくなってる
知ってるはずなのに、分からない
「最初に手をすりあわせて泡立てるんやで」
「は、はい」
うわ、教えられた。恥ずかしい
そうだったそうだった、泡立てるんだった
分かってた、分かってたさ
…………。
泡立てて、髪の毛につけて、ゴシゴシする
それは分かってる。前世で毎日やってきたし、さっき医者もそうやって洗ってくれたから、流石に分かる…んだけど…
「………」
「指の腹で、力を入れてやるんだよ」
「はぃ……」
頭でちゃんと泡立たない
ただ単に頭かいてるだけになっちまってる
どうしてだよ…
121人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta
作成日時:2024年3月20日 2時