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前の主人にも、汚らしいお前を綺麗にしてやろう、なんてバレバレの建前的なのをほざいて
やかんで沸かしたであろうお湯と氷水を交互にかけてきたんだったな
冷たいのは耐えられたけど、熱いのはダメだった
しばらくずっとジクジクして痛いし、追い打ちに踏まれるし蹴られるし
これが物理的な踏んだり蹴ったりかぁ、なんてアホなこと考えるくらいに本当に熱湯は怖い
前世の俺でもすり傷とか切り傷よりも嫌いだったのがヤケドと紙で手を切ったときの傷なんだから
お湯を入れ立てのカップラーメンを落とした時は近所迷惑か、ってぐらいに叫んでた記憶がある
……………前世に生き帰りたい…
「あー…浴室じゃなくて、医務室に服を置いといてくれる?風呂入った後にちゃんとした傷の処置をしときたいんよ。ありがとなー、お礼に今夜添い寝……あれ、切られた…」
ちょっとだけしょんぼりしたような雰囲気を漂わせながらも、病院着?入院着?みてぇなのを腕にかかえてこっちに歩み寄ってくる
「傷の手当ての前にお風呂に入ろうな。浴室はすぐ近くやから、ほらついてき」
ガラガラと引き戸を開けて医務室の外へと行く医者に、言われた通り大人しくその後ろをついて行く
熱湯か、冷水か
はたまたその他の、例えば鞭だったりなんだったりの暴力か
熱湯だけはやめてくれ、やかんを持ってこないで
鉄製のやかんを肌の上に直接置かれるのも、熱湯をかけられるのも、本当にそれだけはやめて
足が震えてちょっと歩くのが下手になってるし、手指の細かな震えが止まらない
そういえば、熱湯をかけられたのも恐怖で震えてたからだっけ
そんなに寒いのか?なんて笑いながら言ってやかんの注ぎ口から熱湯をかけられたんだ
「……どうしたん?」
「ぅぇっ、はぇ、はい?」
「足痛い?車椅子持ってこようか」
「だっ、…いじょうぶ…です」
そういえば、足を診てたとき折れてはないけど……、的なこと言ってたな
心配…してくれてんのか?
体中どこもかしこも痛いのは当たり前だから、あんまよく分かんねぇんだよな
……新しく増える傷はクソいてぇけど
はぁ…いっそのこと、痛みに慣れて無痛症にでもなってれば怖いものなしだってのに
どうして、こんな十何年間も毎日痛いと感じれるんだろうな
我慢強くねぇからかな
誰にも認知されなかったら心の底から安心できるのに、とか何回も思ったけど
誰も認知しようとしなくなったことが原因でこっちに来ちまったんだよな
…ったくカミサマは皮肉屋だ
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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta
作成日時:2024年3月20日 2時