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「私のペットがまだ中にいるのよ」
恐らく、そのペットも連れて行け、という少女の要望という名の我が儘だろう
無駄な出費が、とグルッペンは心底嫌な顔をした
綺麗なその顔面を盛大に崩して、嫌だという心を表現した
しかし、虚しくも肩に置かれた仲間の手
振り返れば自分以外の三人と、馬の外道丸ですら
「我が儘を聞いてあげなさい」と言うような表情をしており、数の暴力でグルッペンは負けた
「………こいつと共にいた奴を今すぐに買い取ることはできるか?」
ペットということは元々この少女の親が飼っていた奴のことだろう
であれば、この少女が連れ去られたときに一緒にいた可能性が高いと踏んで、そう訊ねた
グルッペンの問いに案内人は
「そうですね、支配人に聞いて参りますので少々お待ちください」
と言って、グルッペン達から少し離れたところで耳に手をあてて何かを話し始めた
恐らくインカムで連絡を取り合っているのだろう
少しして案内人は戻り、口を開いた
「先程商品を買った時と同じ値段を追加で払っていただけたら、今すぐにお連れすることが可能です」
「分かった。それくらいは払えるほどの金は馬車に積んである。さっさと連れてこい」
案内人は軽く頭を下げた後に再び地下へと降りていった
「………無駄な出費が増えた」
「まあまあ」
「グルッペンの変な趣味につぎ込まれるよりかは無駄では無いんちゃう?」
「おい」
宥めたのは白色で、余計なことを言ったのは青色だった
悪い笑みを浮かべて今にも鬱に突っかかりそうなグルッペンであったが、案内人が戻ってきたことによって喧嘩は未遂で終わった
連れてこられたのはおよそ10代後半の青年で、少女とは違って首周りにも拘束具がつけられており
彼はだいぶ怪訝そうで、それでいて恐怖を滲ませた怯えの表情を顔に浮かばせている
青年と2本の鍵が渡されたので、先程の少女にやって見せたように拘束具を外して、同じようにそれらと金を詰め込んだジュラルミンケースを三つ投げ渡した
「4000万ずつ入ってる。じゃあな」
口をとがらせながら言うグルッペンは、無駄な出費をしたことによって若干不機嫌気味になっていた
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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta
作成日時:2024年3月20日 2時