おまけ：宇宙旅行のお土産 ページ26
テリアの妹さんから小包が届いた。
あの、種族不明動機不明地雷不明の妹さんから。
中身は人数分のプリン。ただし黒い。一般的なプリンなら卵とカラメルの色をしている筈なのに黒い。
焼け焦げている風でもなく、黒ゴマ風味ってレベルでもなく、ベンタブラックのようにただただ黒い。
容器を揺らすとプルプルふるえる様子はプリンでしかないのに、星ひとつない宇宙空間のように、吸い込まれそうな程、それは黒かった。
人間の食べ物じゃない。誰もがそう思った。
メッセージカードには「いつも兄がお世話になっています。皆さんでお召し上がりください」とだけ書いてあった。
幹部たちは超自然的な存在に恐怖し、追い詰められた目付きでアイコンタクトした。
「……誰から食べる？」
「テリアだろ」「テリアでしょ」「あいつに毒味させよ」
満場一致でそういうことになった。
尚、鬱は小包の差出人を認識した瞬間にダッシュで逃げた。何らかのトラウマを刺激されたようだ。
話を聞いたテリアはパァッと眩しい笑顔を浮かべて喜んだ。
「え？おれの妹からプリンが届いた？やったじゃん！おれの妹料理上手なんだよ。自慢の妹！」
「おう……良かったな……ほら食え。俺らのために毒味しろ。あくしろよ」
「なに？？？美味しいよ？みんなも食べなよ」
「悪いけど俺らにとってのプリンってこんな色してないんだよね……ちなみに種族人間でも食べて問題ないやつなん？これ？」
「大丈夫だよ〜たぶん」
「お前今たぶんって言った？？？お前の仲間が毒死するかも知れないのに？！？！」
「おれの妹はおれよりずっと賢いからそんなミスしないよ〜。まー誰かが何か恨みとか買ってたら知らないけど。たぶん大丈夫。おれの妹天使だから！」
恨みを。
ない……よな？
しかし第一容疑者にして最も可能性が高い鬱はとっくに逃亡していたので、仲間たちは確信を持つことが出来なかった。
完食したテリアの様子に異常はないが、こいつはどうせエイリアンか何かだから何も参考にならない。以前健康診断を受けさせたら色んな数値がおかしかったし、異様に毒耐性が高かったから毒味にもならなかった。
だから、一般的には甘味好きで知られている総統は辛い決断を下した。
「テリア。これはお前が全て食べていい。妹さんの料理が好きなんだろう？妹さんもきっと兄であるお前に喜んでもらえるのが一番嬉しいだろう……」
「え、良いの？みんなで食べようよ？」
「良いんだ。最近、あまりお前に構ってやれなかったからな……詫びと思ってくれ」
ゾムが後ろ手でメッセージカードを破り捨てた。
こうして組織の平和は守られた。(完)
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生姜(プロフ) - miiさん» コメントありがとうございます！夏なのでちょっとだけホラーっぽくしてみました！もしご不安の場合は新しいキャラシをご用意ください！ (8月18日 18時) (
レス) id: bbbb59189f (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 初コメ失礼します。utくんだけでなく自分もSAN値チェックをすることになりそうです。あんな終わり方されたら(人生が)終わるしかないんですけど、KP(作者様)の采配でどうにかなりませんかね？非国民じゃないので…どうか慈悲を…！これからも楽しみに待ってます！ (8月18日 18時) (レス) @page17 id: 2d3cfb07c5 (このIDを非表示/違反報告)
生姜(プロフ) - 檸檬さん» コメントありがとうございます！男主は大型犬だと思われてます！ (8月13日 20時) (レス) id: bbbb59189f (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - もう犬扱いされちゃってるぅ......！でもそんなところも可愛い...！！ (8月13日 13時) (レス) @page9 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
生姜(プロフ) - たらこんぶさん» コメントありがとうございます！いわゆる雑愛され的なサムシングですね！犬扱いで可愛がられてるけど本人的に不満は一切ないみたいです！ (8月11日 12時) (レス) id: bbbb59189f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生姜 | 作成日時：2023年8月9日 21時
