おまけ：初対面のとき ページ23
『ちょっとした野暮用』の帰り道。
考え事をしながら車窓の外を眺めていたグルッペンの目に映ったのは、道端に座り込んだ一匹の犬だった。
黄金の毛並みをぺそ……とさせた、少しくたびれたような犬。
何故こんなところに犬が。
郊外、民家のひとつどころかろくに開拓もされていない、かろうじて街道があるだけの場所だ。
野犬か、迷子犬か、あるいは……
ささやかに興味をひかれたグルッペンは、運転手に合図をして車を止めさせ、外へ出た。
「…………なに？」
不思議なことに、そこにいたのは黄金の毛並みの犬ではなく、黄金の髪と目をした青年だった。
犬が人になった？それとも、青年を犬と見間違えていた？それとも、車を止めて降りる少しの間に犬が走り去り、青年が現れた？
どれも真実のように思えるし、どれも的外れなようにも思えた。
「お前は犬か？」
「は？見ての通りだけど。あんたなに？」
金色の目がグルッペンを睨む。
あまりに刺々しくて、笑ってしまった。
グルッペンが自己紹介すると、青年はテリアと名乗った。
ここで何をしていたのか問うと、「ただここにいただけ」と訳の分からないことを言う。
ではどこから来たのか？ 「あっち」と指差した方向には誰にも手入れされてない鬱蒼とした森があって、人の住む場所は数十キロは離れた場所。
こいつはきっと人狼か、それに似たなにかか……
面白い。
「お前 一緒に来ないか」
「なんで？やだけど」
「うちに来たら毎日面白いぞ」
「だからなに」
車に積んでいた軽食を渡すと、テリアは大人しく車に乗った。
城に連れ帰ると、仲間たちからは口々に「誰が面倒見んねん」「元いた場所に返してこい」「お前大型犬の散歩なんて出来ないだろ」「ドッグフードってどこで売ってんの？業スー？」等と言いたい放題されたが、テリアは興味なさげに一瞥したあと庭をふらつきだしたので迂闊に目を離す訳にもいかず、庭にいつの間にか生えていた可笑しな花を根っこから引き抜いたり茂みから野良狐の死骸を見つけてきたり池に潜って底からなくしたと思っていた私物を取ってきたりするのを対処しているうちにすっかり絆されてしまって、テリアは仲間のひとりになった。
ひとりというか、一匹？
結局一緒に暮らしてもテリアの正体は分からない。
人間とは思えないが、犬のようでいて時たま全然違う気配をしていたり、何もない部屋の隅を見つめていたり、何もない場所でひとりで会話していたり、見れば見るほど不思議が増える。
それらを全て含めてテリアという仲間だと、みんな受け入れている。
……現実を受け入れざるを得なかったとも言う。
おまけ：狂犬トリオ結成のワケ→←END1〜ここまで閲覧ありがとうございました〜
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生姜(プロフ) - miiさん» コメントありがとうございます！夏なのでちょっとだけホラーっぽくしてみました！もしご不安の場合は新しいキャラシをご用意ください！ (8月18日 18時) (
レス) id: bbbb59189f (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 初コメ失礼します。utくんだけでなく自分もSAN値チェックをすることになりそうです。あんな終わり方されたら(人生が)終わるしかないんですけど、KP(作者様)の采配でどうにかなりませんかね？非国民じゃないので…どうか慈悲を…！これからも楽しみに待ってます！ (8月18日 18時) (レス) @page17 id: 2d3cfb07c5 (このIDを非表示/違反報告)
生姜(プロフ) - 檸檬さん» コメントありがとうございます！男主は大型犬だと思われてます！ (8月13日 20時) (レス) id: bbbb59189f (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - もう犬扱いされちゃってるぅ......！でもそんなところも可愛い...！！ (8月13日 13時) (レス) @page9 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
生姜(プロフ) - たらこんぶさん» コメントありがとうございます！いわゆる雑愛され的なサムシングですね！犬扱いで可愛がられてるけど本人的に不満は一切ないみたいです！ (8月11日 12時) (レス) id: bbbb59189f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生姜 | 作成日時：2023年8月9日 21時
