車で片道12時間で行ける異世界 ページ13
「お兄ちゃんから話は聞きました。お仕事お疲れ様です」
訳：てめー何ひとの兄を辛い目に遇わせてくれてんだ、掃除くらいこまめにしろ、怠慢だぞ？
兄と同じく金髪金目の美しい妹さんは目が笑っていなかった。
恐怖に震えた鬱は(やべぇ死ぬ)と思いながら平謝りするしかない。
「ホントすいません……お兄さんにはいつもお世話になって……いやお世話してます……？」
「お兄ちゃんは手が掛かる大型犬ですからね。夜徘徊するし、散歩は朝晩しないといけないし、よく食べるし構われないと拗ねるしたまに奇妙な言動をするしでみなさん大変でしょう」
「ああはい、それはほんまに……まあこの数年で慣れましたわ」
「それは良かった。
私もお兄ちゃんのことは可愛いと思ってるんですけど、私は私で大切なひとが出来ましたから。お兄ちゃんのことはみなさんにお任せするのが良いと思ってたんです」
「そうなんですね。……。」
ここで決して「ご結婚なさるんですか？」等と聞かない辺りに鬱の危機管理能力の高さが光っていた。
この得体の知れないミュータントと対等な関係を築き愛を育む人間がこの世にいるとは思えなかった。
人間が好意を抱くような容姿のナニカが一歩家の外に出れば聖女のように振る舞うのはもうお察しである。
幸いにもこの地域で不審な行方不明者や新興宗教等は『確認されていない』ため、鬱をはじめとしたテリアの仲間たちは全力で見てみぬ振りをしているのが現状である。
「お兄ちゃん泣いてましたよ。いつものことですけど」
「あいつ妹さんの前でもあんなんなんですか……？」
「私が生まれた頃からああですよ」
「すいません、よく言い聞かせときます」
「良いんですよ。○○よりずっとましですから」
「……えっ？」
「
「苦労……なさったんですね……」
「過ぎた話です。
お兄ちゃんのこと、くれぐれもよろしくお願いしますね。
あれでいてまだSAN値ありますから」
「……えッッッッッ！？！？！？！？！？」
あまりの驚愕に今日一の大声が出た。
この家に来たくなさすぎて見苦しく駄々をこねた時より大きな声だ。
待ってくれ、狂人にSAN値はない筈では？
あれでSAN値ゼロじゃない……？おかしい……そんな筈がない……何かが起こっているに違いない……！
しかし妹さんは鬱の突然の大声にもやはり美しく微笑むばかりで、鬱はそれ以上何も尋ねることは出来なかった。
女の敵と名高い鬱だって命は惜しい。
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生姜(プロフ) - miiさん» コメントありがとうございます！夏なのでちょっとだけホラーっぽくしてみました！もしご不安の場合は新しいキャラシをご用意ください！ (8月18日 18時) (
レス) id: bbbb59189f (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 初コメ失礼します。utくんだけでなく自分もSAN値チェックをすることになりそうです。あんな終わり方されたら(人生が)終わるしかないんですけど、KP(作者様)の采配でどうにかなりませんかね？非国民じゃないので…どうか慈悲を…！これからも楽しみに待ってます！ (8月18日 18時) (レス) @page17 id: 2d3cfb07c5 (このIDを非表示/違反報告)
生姜(プロフ) - 檸檬さん» コメントありがとうございます！男主は大型犬だと思われてます！ (8月13日 20時) (レス) id: bbbb59189f (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - もう犬扱いされちゃってるぅ......！でもそんなところも可愛い...！！ (8月13日 13時) (レス) @page9 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
生姜(プロフ) - たらこんぶさん» コメントありがとうございます！いわゆる雑愛され的なサムシングですね！犬扱いで可愛がられてるけど本人的に不満は一切ないみたいです！ (8月11日 12時) (レス) id: bbbb59189f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生姜 | 作成日時：2023年8月9日 21時
